キャリアサバイバル実践記

新卒で入った会社が業績不振で入社2年目にリストラ。その後、東証一部上場企業や米系金融機関、外資系IT企業などで人事を経験。20代で起業を試みるも大失敗して地獄を見るも、32歳になって再チャレンジ中。事業に対する思いや日々の気づきを更新中。

労働法の意義を考え直した2つのあぶない取引のはなし

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昨日、今日と労働法の意義を考え直す出来事が続いたので、少しお堅い内容ですが、このタイミングで私自身の立場をまとめておきたいと思います。

 

同業の方向けの内容になっていますが、もしご関心に合いそうでしたら目を通して頂けると嬉しいです。

 

職安法違反のスキーム

LinkedInで知り合ったインド人から日本で人材ビジネスを展開するためにソーシングの相談をもらい、スカイプでのビデオコールとメールでビジネスの詳細を詰めていたときの話。

 

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「日本の会社にインド人エンジニアをソーシングしたい」という話だったので、てっきり、日本のIT系企業の部門から業務委託を受けていて、そのプロジェクトに対応する人員が不足しているのだと理解していた。

 

契約の段階になって話がどうも噛み合わないので、どういうビジネスのスキームなのかを確認したところ、「日本の人材紹介会社にエンジニアを紹介するつもり」だという。

 

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これでは有料職業紹介の許可を持っていない(日本に法人すらない)インドの会社が人材紹介を日本の会社に行うという違法行為のお手伝いになってしまう。

 

さすがにこれは弊社では受けられない。

 

このスキームが法令違反になることを伝えたところ、その事実を知らなかった様子で、このスキームを提案した日本の紹介会社に苛立ちを感じてしまった。

 

日本人の信頼を落とすようなことするのはやめてほしい

複雑な労働法体系を日本でビジネスをしたことがない外国人が完璧に理解するのは至難の技のはず。

 

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人事経験者でも労務管理や給与計算関係は理解していても、職安法や派遣法まで押さえている人は少ないのが現状。

 

それでも、人材紹介事業者であれば「候補者獲得を無許可の事業者に成功報酬で委託するのはNG」だということくらいはわかるはず。

 

まして、そんなビジネスに日本法を知らない外国人を巻き込むのはありえないでしょう。

 

何より、「インドと日本のビジネスの友好関係を活かして日本でビジネスをしたい」という彼らの気持ちを裏切るのは日本人全体の信頼を損なうことになる。

 

数回のビデオコールのなかで彼らの日本への強い関心と誠実さを感じていたので、今回はおせっかいを焼いてでも、リスクを伝えることに。

 

知らなかったでは済まされない

もちろん、どうするかは相手の経営判断。バレなければいいと思う人もそれなりにいると思うので、善悪を語るつもりはない。それは裁判所の仕事だから。

 

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ただ、知らなかったでは済まされないから業法があり、許可事業とされているわけで、この点を伝えるのは業界内のプレイヤーとしては当然の話。

 

他にも、契約の最終段階で雇用契約を一部アレンジした契約書で業務委託を提案されることがあり非常に驚いた。

 

「仕事は従業員同様にしてもらうけれども、 労働者としての保証は一切ないよ」と読める構成。

 

もちろん、事業者なので労働者としての保証は求めていないけれども、業務委託という時点で役務の対象は時間または成果物となるはず。

 

もともと、「従業員のようにコントロールすることはできないが、満足いく結果がでなければディスカウントや解約ができる」内容にしていれば、トレードオフが成り立つのに、ここが通じない。

 

戦後に労働法体系が確立されていった理由とその具体的な意義を実感した出来事だった。

 

念のために 労働者保護論者ではありません

 これまでの書きぶりだと、「雇用の安全性を高めたいと考えている人なのではないか?」と見えてしまうかと思ったので、念のために書かせてください。

 

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私は基本的には「雇用の流動性を高めることが、個人・会社・社会の発展のためにプラスになる」という考え方をしています。

 

これは「会社と個人は本来、対等であるべき」と考えているためです。とはいえ、上述の通り、労働法体系の基本コンセプトは欠かせないと考えています。

 

資本主義の社会において、個人では資本家の力に敵わないのは自明の理なので、私的自治の原則を修正する必要があると考えているからです。

 

一方で、「労働者全体に一律的に労働時間管理を求める論調」「解雇4原則」などは、競争力を高めないと国際競争で生き残れない企業環境である現状に対して機能不全になっていると感じています。

 

時間管理について以前のエントリーにまとめています。

sy-blog.newbeginnings.co.jp

 

 

具体的には以下の理由からです。

  • 20年以内に多くの企業が廃業する一方で、個人の就業期間は40年を超えることもある
  • 倒産の危機を迎える前に事業内容の変革が求められることがある。当然、事業が変われば必要な人材が変わる
  • 個人もライフステージによって理想の働き方は変わる

 

そもそも、ひとつの会社が従業員の一生をサポートするというのには無理があるので、「一企業のあり方を規制するのではなく、社会全体で変化が生じた時にピンチを迎えてしまったひとを受け入れ、次のチャレンジをサポートしよう」というのが私の考え方です。

 

35歳転職限界説や転職回数3回を超えたらジョブホッパー扱い、同一労働同一賃金の不徹底(ハイスキルな契約社員派遣社員をスキルが低いプロパーが管理している)といった事象を変えていくことが働き方改革の本質だと捉えています。

 

この数週間の出来事から改めて「働き方の柔軟性の重要性」「法令遵守の大切さ」というジレンマをいかに乗り越えるのか、というテーマについて考えたくなり、書かせてもらいました。