キャリアサバイバル実践記

新卒で入った会社が業績不振で入社2年目にリストラ。その後、東証一部上場企業や米系金融機関、外資系IT企業などで人事を経験。20代で起業を試みるも大失敗して地獄を見るも、32歳になって再チャレンジ中。事業に対する思いや日々の気づきを更新中。

プレミアムフライデー、残業規制の議論について思うこと

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今日はプレミアムフライデーの初日ということで、「本当にうまくいくの?」といった投稿をちらほら見かけます。

 

そして、少しスクロールしたら、「残業上限が100時間になるかもしれない」という投稿もタイムラインに同居していて、何とも不思議な光景です。

 

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そんな状態を見て、私の個人的な考えでも、議論のプラスになればと思って、エントリーを書きたいと思います。

 

 

 

1.残業時間の規制で本当に会社員はハッピーになる?

 過労死認定基準(正式名:脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について)のなかで設定されている時間数が議論の中心になっているように見受けられます。

 

 (2)  発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて判断すること。

(引用元:脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について/労働関連法令等一覧|労働政策研究・研修機構(JILPT)

 

ここで提起したいのは、「時間外労働を規制するよりも、働き方の選択肢を広める方法を議論したほうがいいのでは?」ということです。

 

(1)まずは、今起きていることの整理

労働者の安全と健康へ配慮する義務が使用者には課せられるので、当然にこの通達が示す基準を超えた時間外労働により社員の健康が害されれば、民事上のリスクだけではなく、労働安全衛生法に違反する可能性もあります。

 

 

この労務リスクの極小化を目指して、経済界が現行の基準に例外措置を追加するように政府に働きかけるという動きをしているということでしょう。

 

(2)過重労働問題の本質は基準よりも運用では?

今、議論すべきは「100時間の例外を設けることの是非」よりも「現行の基準をまともに運用できているのか?」だと思うのです。

 

実際に労働時間管理があってないような環境はたくさんあります。

 

行政の責務として労働者の安全と健康を守りたいのであれば、国勢調査のように個々人からアンケートを取れば、取り組むべき課題は一目瞭然になるでしょう。

 

「従業員が心身の負荷の大きさに耐えかねているのに、業務量の調整をしない事案」は悪質性が高いと判断し、行政が介入すべき領域だと思います。

 

これは、100時間の例外設定の是非以前の問題です。

 

「既存のルールをまともに運用できないのに、例外規定を率先してつくるのはおかしいので、やめましょう。」

 

それだけな気がするのは私だけでしょうか?

 

(3)「長時間労働=悪」というのは画一的すぎる

さらに「長時間労働=悪」というのはあまりにも画一的なテーマの設定だと思えて仕方ないのです。

 

ワークスタイルはライフスタイルの一部なので、選択の自由があっていいはずです。

 

例えば、

  • 産休育休から復帰しやすくするために20代のうちに実績を残したい
  • 40代半ばまでに、経営者になってセミリタイアしたい

 

このようなライフスタイルを考える人にとっては、長時間労働は一時的なものであり、さらには自己実現の一手段でしかないでしょう。

 

それなのに、

 

「一律で規制することが会社員全体のためになる」という考え方を強引に当てはめられるのは、会社・個人双方の機会損失になるだけでしょう。

 

 

大切なのは「社員が働き方を選択できるかどうか」ではないでしょうか?

 

 

一律的にルールで押さえつけるのは硬直した社会を作るというマイナス面があることに、もっと目を向ける必要があると思います。

 

 

2.問題は労働時間よりも雇用の流動性が低いこと

本質的には 「長時間労働をするかしないか?」は個々人の選択です。

 

「ライフステージ上、勤務時間をセーブしたい」という希望を出しても、会社が応じてくれない場合は、別の会社に移るというのが一番シンプルな解決策です。

 

この点は自社ブログにまとめているので、よろしければ、ご覧ください。

newbeginnings.co.jp

 

この解決策を持つために個々人がアクションを起こすほうが、規制を増やすよりも働き方の選択肢が増えて、もっと働きやすい社会になるはずです。

 

育児や介護のために時短勤務をしたい、将来の独立のために少しでも多く経験を積みたいなど、働き方に対するニーズは大きく異なります。

 

「労働時間の長さ=会社への貢献」という図式が成り立っていることが本質的な問題でしょう。

 

たとえば、

 

  • 時短社員のほうがフルタイムの社員よりも実務スキルが高いのに時給が低い
  • 定時を過ぎたあとに定例の会議がある(欠席はマイナス評価になる)
  • 仕事が終わってもほかの人の目が気になって早く帰れない

 

このように個人の能力や成果よりも、会社にいる時間の長さのほうが待遇に影響する環境にこだわらなくて済むキャリアづくりが個人側では重要な取り組みになるでしょう。

 

一方で、社会全体では、真逆の取り組みをする会社を応援していくことで、多様な働き方を受け入れられる会社の輪を広げることに貢献できるはずです。

  

 

3.残業ゼロにすればオールOKという話ではない

 ひとつの労働観を悪として成敗しても、真の働き方の自由さにはつながらないでしょう。

 

大切なのは必要性を会社・社員が認識したうえで、社会全体に新しい価値観を広めていくことのはずです。

 

そのためには、以下の2点についても議論したほうがいいと感じています。

 

(1)残業ゼロでも「早く帰れ」というメッセージならやる気はなくなる

クライアントのためにどうしても終えたい仕事があるにも関わらず、会社から「早く帰れ!」「残業は悪だ!」と言い放たれれば社員のやる気を削ぐだけです。

 

大切なのは、適切な業務量になるようにチームワークの強化、役割に応じた給与設定を進め、社員が働き方を選べる余地をつくることでしょう。

 

 

(2)残業削減よりもリフレッシュ促進のほうが現実的な課題では?

有給休暇の取得率が先進各国のなかで例年最低水準であるのは日本社会のひとつの課題でしょう。

 

たとえば、

  • 繁忙期を超えたらリフレッシュ休暇を1週間とる
  • 子どものお迎えのために毎週特定の日は早退する
  • 遠方から来た友達を案内するために休暇を取る

 

このような理由を堂々と宣言できる職場環境だったら、過度の自己犠牲は防げるでしょう。

 

人生が仕事とプライベートの両輪で成り立っているのは紛れもない事実です。過度の自己犠牲を強いる職場環境は中長期的にみれば会社の成長にもマイナスになります。

 

 

最後に

 業績の伸びに人員の確保が追い付かずに残業時間が一時的に増加することはありえます。

 

この点を規制すれば、ベンチャー企業や中小企業の成長機会を規制することにつながり、経済の停滞の要因になりかねません。

 

このような複雑な要素が絡まったテーマは善悪の観念論ではなく、社会・会社・個人が果たせる役割分担を明らかにしたうえで、対策を明確にしていくべきです。

 

何でも、一律のルールで解決しようとする考え方が働き方の自由さを狭める結果を招いているといっても過言ではないでしょう。

 

この前提に立って、ここで改めて、課題として提起したいのは、以下の2点です。

 

  1. 慢性的な過重労働
  2. リフレッシュに罪悪感をもってしまうような職場環境

 

このテーマへの対策はシンプルだと思います。

 

「仕事に人生を捧げるのではなく、ライフスタイルの一部としての働き方と考えて仕事を選べる」

 

このような社会を目指していくことに尽きるでしょう。

 

  • 一所懸命働き、思い切りリフレッシュする
  • 経験を短期間で積み、キャリアアップを目指す 

 

「多様な働き方を認めて、支援しあえる」

 

そんな社会になったらいいなという願いが、今の事業に取り組んでいる強い動機のひとつです。

 

今回の議論の方向性が規制のあり方ではなく「働き方の選択のために個人ができることは何か?」に向かっていくことを願いつつ、締めさせて頂きます。